議論の妨害には

徹底して戦う


(平成7年12月11日掲載)



 改正宗教法人法が大荒れの末、成立した。創価学会の池田大作名誉会長の参考人招致をめぐって乱闘まがいとなり、そこに私が加わっていたことで「馳議員の国会戦デビュー」「プロレス議員馳浩も仰天」とマスコミに不本意な形で取り上げられた。事の善しあしの判断は有権者に任せるとして事実は−。

 11月28日午後5時前、「宗教法人に関する特別委員会」を参院第一委員会室で傍聴していた。動員されたという報道もあったが、文教委員として興味があったので同委員会は毎週傍聴していたのだ。

 その私に同委員会の関根則之理事(自民)が「この後、休憩になりますと野党の皆さんが委員長のところに詰め寄りますから、すみやかに委員長を控室までお運びしてください。自分から手を出してはいけない」とささやいた。 

 5時5分、佐々木満委員長(当時)が「休憩します」と話すやいなや「聞いてないぞ」という怒号とともに新進党(平成会)の議員が委員長席に駆け出した。完全に出遅れた。「いかん」と思いながら新進党議員をかき分け委員長に近づくと、佐々木委員長が襟首をつかまれている。

 相手は十数人、自民党側は三浦一水議員ら3、4人。委員長の前に行き、二の腕あたりを抱え、三浦議員らに「後ろから押してください」と頼み、私は委員長を引きずる形で新進党議員を(あくまでも暴力的でなく)振り払い、委員会室を脱出、控室まで着いた。プロレスのウォーミングアップにもならない。”乱闘”だったが、佐々木委員長はヘトヘト。私の背広、ワイシャツのボタンも取れていた。 

 新進党側が、休憩されたことで池田招致の強行採決をされると考え、実力行使に訴えたと知ったのは控室に入ってから。その後、委員会再開防止のため、新進党側は委員長室前で衆院議員、秘書も含め約 300人がピケを張った。結局、その日の委員会再開はなし。緊張状態は翌日、翌々日と続いた。新進党側は「馳シフト」と称し、体の大きな3、4人を私の周りに配置、強行採決に備えた。池田名誉会長招致が見送られたため、再び乱闘 は起こらなかった。

 今回の行動は後悔していない。国会は国民に選ばれた議員によって論議する場。論議を妨害する行為には正当な理由がない限り徹底的に戦う。池田さんは証人喚問ではなく参考人招致。法改正に反対する宗教団体のトップから意見を聞くのは当然だろう。議論することを放棄した新進党の行為はつくづく残念だ。

冬の夜 良識の府に ピケ・怒号


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