政治家に望む

真剣勝負


(平成7年10月16日掲載)



 見たかった。いや、それ以上にリングに立ちたかった。10・9東京ドームでの新日本プロレス対UWFの対抗戦は6万7000人いうドーム過去最多の観客が集まったという。メーンイベントの武藤・高田戦を筆頭に、団体の名誉とトップレスラーとしての意地をかけた真剣勝負にファンは十分満足したのではないか。仕事の関係で会場に行けず、本当に残念だった。

 武藤たちの試合を政治家にも見ていただきかったね。政治家は本当に真剣勝負しているんですか、と聞きたいよ。田沢智治法相の辞任、それに絡む新進党との国会質問裏取引疑惑(立正佼成会からの2億円借り入れ問題を除去するよう求めた)では、与野党ともに真剣勝負をする気配がないまま終わりそうだ。こんなことでは政治不信は取り除けない。

 田沢さんは「天地神明に誓って裏取引はしていない」といったそうだが、それならば辞任する必要はない。田沢さんが所属する参院自民党は真相解明のため独自の調査会を設置した。本当にやってないならば調査会に出て事実を明らかにすべきだ。新進党も2億円借り入れは事実なのだから追及すればよかった。勝負を避けた印象を免れない。

 田沢さんにとってネックだったのは、立正佼成会から推薦された参院比例区の議員でありながら、宗教法人法改正を推し進める連立与党の法務大臣だったことだ。立正佼成会は改正に反対しており、田沢さんも「改正は慎重に」といっていた。

 特定団体から推薦を受けた人が、その団体の意向に左右されるのはある程度仕方がない。が、議員が官僚になったからには国民全体の動きに目を配らなくてはいけない。国民代表でなく特定団体の代表として動く議員が多いことにはがっかりさせられる。

 宗教法人法の改正にしても、経理の透明化を主眼点に置いている。信教の自由が保障され、税制も優遇されるなど法律によって守られていることを考えれば自主的に経理を公開してしかるべき。反対する団体は、公開すると何か不都合があるのでは、と勘ぐりたくなる。改正に反対ならば議員に圧力をかけるのではなく、表立って賛成派と真剣勝負して、自らの意思を押し通してもらいたい。

宗教は 心の鍵を 解く果実

 宗教は心に引っ掛かっているかぎを解くヒントだ。規制されるのではなく、自ら望んで食べる禁断の果実だ。その禁断の果実の中身を自主的に情報公開して下さい。改正に対する心を開いて下さいよ、宗教団体の皆さん。


 

[ デスマッチトークINDEXへ ]