朝 市 情 報

朝市今昔

むかし、むかしの社会で、高所や大木の生えている神聖な場所を選び、ここで物品交換を行ったことが今の市の起源とされている。これを裏付けるように、輪島では最も神聖な場所として延喜式内社鳳至比古神社(ふけしひこの)の大斎地(おおいつきどころ)で神社の祭日ごとに物々交換の市が立ったという。このことが輪島の市の始まりとされているから一千年以前ということになる。こうした古い歴史のなかに育まれてきた輪島の朝市に、売るものと買うものとの心の触れ合いがあるのは当然であろう。
 売るものも女、買うものも女、女ばかりの朝市。町の一日は、朝市の呼び声から始まる。朝市の露店が道の両側にずらりと並ぶ河井本町通りは、輪島のメインストリートであるが、道路両側の商店街の人々は無償で店先を占領されながら文句を言わない。かえって、客寄せになるのでと歓迎している。売り手が朝市に坐る場所は親から子へ、子から孫へと何代も引き継がれている。野菜や穀類、果物その他季節季節の花などを売る人たちは、輪島周辺の農村から出てくる。生きのいい魚や貝・海苔・ワカメなどは主に輪島崎や海士の漁師町の女衆が売りに出る。輪島おんなは働きものという定評があるとおり、「亭主のひとりやふたり、やしなえない女は、女の風上(かざかみ)に置けぬ甲斐性なしだ」と自負しているのが輪島女の意気地というものであろうか。4と9のつく日は特に市日といって賑わう。
 市は婦人のリクレーションの場であり、婦人が家庭の煩雑からしばし解放された憩いの場でもあり、情報交換の社交の場でもある。売り手が商いの合間(あいま)合間にかわす、おしゃべりもまた楽しいことだという。
 輪島の朝市には、いつでも海の幸山の幸が一方に片寄ることなく肩を並べていることも輪島の朝市の大きな特徴とされている。
 朝市で売られるものに「値札」はあまりついていない。いわば1人1人が売り子でありまた、社長でもある。だが、買い手も売り手も満足して取り引きしている。当今、誠に不思議な現象だと頭をかしげる人もある。
 輪島を訪れた都会のある主婦は「朝市の物を買って、料理をすれば、どんなに楽しいだろう」としんみり語っていた。「野菜に艶がある。気安く、気軽に買える輪島の朝市が何よりもうらやましい」と、別の主婦は言う。
 近年、増加した共稼ぎの人々の台所は、鳳至町住吉神社の境内に毎日開かれている夕市と直結しているので不自由はない。
 昭和45年9月から毎日午前8時から正午まで河井町朝市通り約360bを車両通行禁止の規制が石川県公安委員会で認められ、以来朝市は交通地獄から解放され、歩行者は静かに、ゆっくりと買い物や見物、そして、おしゃべりにのんびりと朝市ムードを楽しむ場所となった。


おいしい話

  いしる
能登独自の味といえば、海の幸といしる料理。
いしるは、イワシやイカを長期間ゆっくりと自然発酵させてつくる調味料で、日本の三魚醤のひとつであります。
奥能登には、そのいしると海の幸を使った素朴な郷土料理も数多くあります。
輪島の代表的な郷土料理といえば、海草なべ・素朴な冬の鍋料理など色々ありますがが、いしるの貝焼きも忘れられない輪島の味です。

 むしあわび
輪島はあわびの産地として全国的に有名なところです。
あわびをまるごと蒸しあげて、こんがりと褐色になった「むしあわび」を朝市でも見かけます。
むしあわびは観光客にも人気があり、シコシコとした歯ざわりと磯の風味は、酒のつまみには最高です。(私はあわびより磯の香の強いむしさざえの方が好きです)
あわびの刺身も天下一品で、ここ輪島では生のあわびに、貝のわた(内臓)をすりつぶし、酢みそをを混ぜ合わせた独特のタレをつけて食べます。
酢じょうゆやわさびじょうゆといった食べ方もありますが、輪島では、このタレで食べるのが一般的で、そのおいしさと言ったら、もう絶品でいうことありません。

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