じゅうゆかいしゅう

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平成9年1月2日に発生した、日本海のロシア共和国船籍タンカー沈没事故に伴ったC重油流出事故の、重油回収作業の実状をご報告します。
以下の内容は平成9年1月26日のものです。その後は状況が変わっていると思われますのでご注意ください。


◆現場は石川県珠洲市の仁江・清水回収所です。

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 砂、砂利、岩のすべてが混在する、仁江・清水回収所です。
 インターネットやテレビでいろいろと現場を見てきましたが、ここは一見汚染度は低そうです。

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 作業現場地図の中の2番の現場です。
 (作業現場地図重油流出事故関連情報(珠洲)より)











◆珠洲までの道はスタッドレスタイヤ車でないと行けません。(平成9年1月26日現在)

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 能登有料道路を穴水終点まで走ります。この道はその先の県道1号線の状況です。
 スタットレスタイヤもしくはチェーン着装が絶対必要です。

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◆(悲劇:その1)重油漬けの波打ち際の悲惨さ。

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 波打ち際にべっとり打ち上げられている重油。その重油にまみれて針千本が2匹、息絶えていた。
 その白ムキの目がわたしを睨み付けている感じがした。こんな海にしてしまってごめんなさい‥‥。

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 重油はもちろんですが、とにかくゴミが多い。
 マリンレジャーをはじめ、アウトドアレジャーが盛んですが、何故ゴミを持ち帰らないのでしょうか。
 スナックの粗品のライターを見付けました。そのライターは下関市のスナックのものでした。
 日本国内はもちろん。海外からもゴミが流れてきます。ハングル文字で書かれた酒瓶もありました。
 日本もそうだけど、大韓民国や朝鮮民主主義人民共和国の人たちも、ゴミは持ち帰りましょう。








◆(悲劇:その2)掘っても掘っても重油が出てくるんです。

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 岩に付着した重油も回収するのはたいへんです。しかし砂利浜の沈んだ重油はもっとたいへんです。
 ぱっと見、表面上重油は見あたらなくても、ショベルで掘り返すと凄く重い重油が出てきます。
 浜を歩くと沈んだ重油が長靴に付着し、だんだん足が重くなってしまいます。
 たいへん残念に思いますが、砂利浜に沈んだ重油は回収しきれるものではないでしょう。

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 写真のようになってしまったショベルやスコップは、強く握らないと滑って落ちてしまいます。










◆(悲劇:その3)どんどん漂着するんです。

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 地道な努力も、こうして振り出しに戻されてしまいます。
 どうしたらいいんだぁ‥‥と悩むよりも、結局1つぶ1つぶ流れてくるのを回収するしかないんです。

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◆(悲劇:その4)陸は灯油漬けです。

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 長靴やかっぱについた重油は灯油を使って落とします。
 浜から陸に上がると、もうそこは灯油汚染が深刻です。
 (重油に比べればそうでもないですけど、そういう問題ではありません!)

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◆(悲劇:その5)目に見える成果も大したこと無いんです。

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 わたしの成果は土嚢14袋。丸1日かかって、たったこれだけ。
 写真の土嚢の山は、数日前から積み上げられてきたと思われます。

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◆(悲劇:その6)土嚢はどこへ行くの?

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 堤防下の土嚢を、小型クレーンで引き上げます。
 帰り道でチラッと見たのですが、道の際に大きな穴が掘られ、そこに土嚢が貯められていました。
 土嚢は意外と防水性に優れていません。当然重油が周りに染み出てしまいます。
 でもこれが現時点での最善の策なのでしょう。

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◆(悲劇:その7)美しい能登の自然はいつ取り戻せるのでしょうか。

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 真浦の垂水の滝です。
 ドラム缶と土嚢は似合いません。増してや重油漬けの海岸なんか‥‥。

 犠牲者まで出してしまうような、過酷な回収作業が日々続いています。
 莫大すぎる労働奉仕による回収作業。この責任は絶対に有耶無耶にされてはいけません。
 ロシア共和国は今回の沈没の原因を、海上を浮遊していた訓練用のある物体に触れ、爆発が起きたとしています。
 ロシア共和国側に責任の度合いが低くなるような調査結果です。被害を被った側としては腹立たしさを感じます。
 三国町沖のロシア共和国の油回収船は、固まった油に対しては作業が出来ないと、作業に当たっていない様子。
 日本政府もロシア共和国政府も、対応が遅すぎる上に、その対応も不十分です。

 ボランティアとして回収作業に当たられ、不幸にもお亡くなりになられた方々のご冥福を心からお祈りいたします。
 これからも作業に当たるボランティアの方、自衛隊の方、警察の方。どうぞ十分に注意してください。


 1月26日。この日回収できた重油は、土嚢16,300袋(ドラム缶換算220本)。
 作業に当たった総人員数は2,472人。うちボランティアは1,259人でした。
 (回収作業データ:重油流出事故関連情報(珠洲)より)
 ご苦労様でした。










◆重油回収に従事されている方へ、お願い。

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 ここは陸に上がった回収所の駐車場です。
 海岸のゴミについて(悲劇:その1)でお話ししましたが、ここでも放置されたゴミがありました。
 ゴミ袋の中身はどうも重油で汚れた長靴などのようです。もしかして回収に従事された方が放置されたのでしょうか。

 汚染物はすべて持ち帰り、自分で処分したいものです。そこまでやってこそ本当のボランティアではないでしょうか。
 汚染の酷いものについては、各回収所のお世話役の方に相談して、処置を決めたいものです。
 (これははわたしの意見です。汚染物の処置法に関してご意見ご助言等がありましたら、メールでお知らせください。)





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1997/01/29〜

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レポート中で、ここぞとばかりの写真がないのは、重油回収作業中の出来事を綴っているためです。写真は休憩中などに撮ったものです。

重油災害ボランティアセンターをご覧ください。

重油流出事故関連情報(珠洲)をご覧ください。

ナホトカ号重油流出事故関連リンク集をご覧ください。

(社)日本青年会議所北陸信越地区石川ブロック協議会をご覧ください。

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1997年1月28日登録 1998年6月7日更新
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